………葬儀の顛末…
先程……花屋さんのご主人はキャンディと共に火葬場へ出発した
今もなにか夢の途中にいる感じがする
私はいつも故人の遺影に聞いてみるの
「貴方は楽しく生きたかい?」
「幸せに生きたかい?」
でも答えは返ってこない
逝った者が生きている者と同じようにふるまえるわけはない
これから骨になるまで焼かれても
昨晩の氷雨の降る夜に突っ立っていても、逝った者は熱さも寒さも感じる事はない
例え彼らがそれを感じていても、
私達に知るすべはないんだってね……
ふと控え室を見ると、通夜振る舞いを食べてる遺族親族、親しかった旧友が何事も無かった様に微笑んでる。
なんだかな……
私は後輩社長と事務室に戻りスマホにあったご主人が写ってる画像に好きだったカップ酒を供え共に飲んでると、
専務が娘さんと疲れて寝てしまったお子ちゃまを連れてやってきた
「昭和の見事なお父さんだった……」
皆でしんみりしていたら
「お肉食べよっか…?」って専務が言う
私達の会社では心が疲れたら「肉」を食べる慣例がある。
酔い潰れた娘さんの旦那を控え室に寝かせ、故人の奥さんも呼んで、アレクちゃんカールちゃんもノエルちゃんも皆で肉を食う
これがご主人と共に過ごす最后の夜。
皆、半べその無言で食べてたらキャンディがハーモニカで「スキヤキソング(上を向いて歩こう)」を吹きながら入って来る
結局、堪え切れなくなって
皆泣きながら食べた……
………お父さんは縁の深い場所を巡りながら火葬場へ向かって行く
貴方に教えられた「仁義」は私達の次の世代へ確実に受け継がれてるよ
ありがとうお父さん
貴方から受けた恩は永遠に忘れない
さようなら……
………桃子の日誌…