………とある斎場の一日…
奥さんに…声の掛け様も無い
いかんよ、家族を残して勝手にってのは
吊るってのは普通にある事なんだけど、この40代のお父さんは少し違う
普通、紐を外そうと縦の引っかき傷が出来るんだけど、このお父さんの場合、首の間に指6本の縦に出来たうっ血があった。
紐を掴んだままぶら下がったんだよ
これ「切腹」と同じ
「逝かねば成らない」
と、腹を括った結果。
年に一人居るかいないかの事象
会社の寮でそうなっている所を発見される
高齢の両親の実家に子供達4人を預け、一人で遠方の都市から上京、警察では修羅場。
ラボ斎場の特別遺族控え室(監視軟禁控え室)で放心状態になっていて技術局長や専務でさえ声を掛け辛い。
そんな時に力を貸してくれるのが動物家族なんだよ。
専務の愛ちゃんがお母さんの真横にくっつき、真ちゃんは斜め前から寄り添う。
言葉なんていらない
ただ寄り添うだけ……
だけど愛ちゃんと真ちゃんの霊魂の温もりが傷付いたお母さんの心を癒し……
おニャンコ隊もやってきてお母さんの膝で流れ涙を舐めてあげてる
お母さんは、いつの間にか愛ちゃんにもたれる様に眠りに落ちた
ここまで殆ど人間は関与していない。動物家族達が自らの愛でやってくれているの
………早朝、義父母と実父母に連れられ子供達もやって来た。
みんなで泣いてる………
でもお母さんは“母の顔”
4人の子供を抱きしめながら
悲しみを隠し一人立つ“強い母の顔”になる
そうしたのはね、私達の動物家族達なんだよ
…………桃子の日誌…