昨日から
一人の遺族が第4ラボ斎場に泊まってる。
私と同年代の女の人
普通に正社員で働いている様だ。
この女の人のお母さんが膵臓癌で亡くなって、私達の所へやって来た。
この親子も私や専務と同じで
様々な事情があって母娘だけの家族、親戚縁者と縁が切れている。
4ラボに迎える指示を出したのは専務の配慮
母親が亡くなるって事の心の準備は出来ていたとは言え、ショックは大きいからね。
ここには心を癒す大らかな自然がある。
昼過ぎにタヌキがやって来て、保証局長と二人でご飯をあげたそうで
「ゆっくり瞬きして…」
タヌキも瞬きを返してくれて
彼女の手から直接ご飯をとって食べてくれて、やっと笑みがこぼれたそうだ。
心の傷を癒やしてくれるのは時間だけ、傷の癒しを早めてくれるのは暖かい者だけだ
専務が心配してわざわざ担当を変更し4ラボに様子を見に行った時、話しの中で
「親族は?」と聞くと、
小さい時に離婚してから一度も会って無いし、何処に居るかも連絡先も分からない。
知る必要がなかったから母も自分に教えなかったし、私も必要が無いから探しはしない。
否が応でも必要になった時、向こうが現れたり、自分が探し出すでしょう。
でも、今はその必要が無い
私と専務と同じ。
少し前に「早く親戚を探すべき」と読者の方にコメントを頂いたが…
知る必要が無い事は、知らなくて良いんだよ
部屋のカメラを確認すると
保証局長、随行秘書、遺族の女性の三人で、にゃん玉達を抱っこして、“猫吸い”しながら楽しそうに話している。
表情には影があるけど
彼女の目は「生きて行く」覚悟をした目だ
一人ぽっちになっても生きていけるってね
そう…どれだけ悲しくても、生きて行くしか無いんだ
お金が無いから火葬だけって言ってる貴女…
会社の同僚がお金を出し合って葬儀を出してくれるそうで、先ほど代金を支払って行った
ならば、私達もそれに応えようじゃないか
会葬者が絶対忘れない葬儀
みんなが大好きな貴女と
貴女の大切な仲間達とお母さんの為に……