死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

朝は生き、夕方は白骨

 

私の父も母もそうだった様に

 

   朝は元気で出掛けて

     夕方には死んで帰って来る……

 

 

今に思えば…普通に有る事

 

 

………昨日の夜遅く…

 

楢山節考の婆ちゃんの顴骨法要中、

出先にて…心筋梗塞で急逝したお母さんと、中学二年生の娘さんを専務が連れて来た

 

 

お父さんは大分に単身赴任、2人の兄も独立して遠方都市に住んでいて、

どちらも到着は明日の午前中…

 

親戚も遠方

 

死んだお母さんと、自宅マンションに二人きりは絶対不可なので

お父さんと専務が話して斎場へ連れて来た

 

 

こちらへ来る途中、

専務は女の子の世話にキャンディを指名、他のバイトの女の子と二人で、

お父さんか兄貴達の誰かが来るまで、付きっ切りで面倒を見させる。

 

 

怖いからね事故……絶対に目は離せない

 

 

 

当然、娘さんはギャン泣きしそうだけど

こんな時、涙なんか出ないんだよね

 

お母さんの布団の横で、ペタンと座っている

 

 

私も母が急逝した時…

   涙なんか出なかった

 

 

 

私が泣いたのは顴骨法要が終わって、心配してくれていた中華屋さんのお母さんに

 

  「ほら、ももちゃん!

     もう泣いて良いんだよ!」

 

 

って言われ…我に返った時だ

 

 

 

でも多分、この女の子と私とでは

涙が出ない理由は違う

 

私は「白」で、この子は「黒」

 

 

浄土真宗には……

 

されば朝には紅顔ありて

  夕べには白骨となれる身なり。

           …………白骨の御文

 

なんてのがあるけれども

  全くその通り過ぎて腹が立つ

 

 

命数を使い切れば即、誰でも死ぬ事になっているけれど

 

事故でも病気でも

心の準備も無しに突然、冷たくなって帰ってこられるのは我慢ならない。

 

 

 

専務が寄り添い、キャンディも寄り添う……

 

 

悲しみと云うより「恐怖と不安」の深淵にいる彼女に…誰も声なんか掛けられない

 

 

良いタイミングで

父親に聞いた家族が飼っているトイプードルを、鍵を借りて後輩社長とお母さん顧問弁護士が連れて来た。

 

当社は遺族が飼っている動物は、全て同伴が基本、最期の別れは家族全員でするべきだから

 

 

女の子は泣いた…

 

悲しくて

不安で

怖くて…

 

 

  ワンコを抱いて泣いた

      人らしく大声で泣いた

 

 

やっと彼女の意識がこの世に戻って来て…ひと安心

 

 

 

私は炊き立てのご飯で“おにぎり”…お味噌汁を作り、よく冷えた糠漬けを切る

 

 

ノエルちゃんはバックから出て

置きっぱなしだった、楢山節考の婆ちゃんの供物の小さなモナカを咥え、女の子の所へ行って膝の上に置いて

 

「ご飯を食べよう!」と大声で何度も啼く…

 

 

キャンディが袋から出して「はい!」と渡す

泣きながら…微笑みながらひとくち食べた。

 

 

亡くなったお母さんが心配するから……

みんなで食べよう!

 

 

おにぎり…

煮立つくらい熱くしたお味噌汁…

冷たい糠漬け……

 

お母さんにも御霊供膳(おりょうぐぜん)などでは無く、皆と同じものを出して食べる

 

 

ノエルちゃんも膝の上でネコ缶を食べて、仕上げに哺乳瓶でネコミルク……

 

そんなノエルちゃんを見てクスッと笑う

本当は良く笑う女の子なんだ

 

 

私が呼んだ“おニャンコ部隊も到着し…とりとめの無い話しを皆と一緒にね

 

 

キャンディがピアノを弾き始める

 

きらきら星

カノン

G線上のアリア……

 

暗くならない曲を弾いた……………

 

…………………………………

 

……………彼女は眠る

明日からしばらく続く悲しく痛い日々に備えて…

 

母親の葬儀

転校での友達との別れ

父親との新しい生活

 

 

彼女は人生最初の「折」のカーブの前に差し掛かっている

 

辛くなったら

何時でも言いにきなさい………

 

 

      頼る事は恥じゃあない

 

 

この会社は、縁が出来た者が求めたのなら、それは与えられる会社だから



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      ただ..今は眠れ…………