死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

ファフロツキーズのアメと花束と..

 

虹が架かる空には雨が降ってたんだ

虹はいずれ消えるけど雨は草木を育てていくんだ

虹が架かる空には雨が降ってたんだ

いつか虹が消えてもずっと僕らは空を見上げる……

 

 

昨日の夕方前

 

世界のおわり  “Rain”で、あのお母さんの葬儀一切が終了した

 

 

 

 

 

 

この演奏はお母さんの為じゃない。

 

娘さんが

人生を一人立って歩む手向けの演奏

 

 

彼女の会社の女性社員達は、「一人ぽっちは可哀想」と、通夜の前日から有給を取り交代で彼女と過ごし寄り添い続ける……

 

 

久しぶりに

“義侠と仁愛”を持つ仲間たちを見た

 

 

訃報を新聞に出したからなのかコロナ騒ぎの中、通夜には何だかんだと100人近く会葬者が参列

 

 

   導師の読経が始まり…………

 

       ………法話が終わる

 

 

お母さんの思い出のスライドショーにリンクしながら後輩社長のバンド“シュレーゲムジーク”がサプライズで演奏する

 

 

 みんな笑ったり泣いたり………

  忘れられない時間を共有し記憶した

 

 

 

彼女の会社は

家族経営…と言っても、50代の夫婦二人で経営する、従業員数が10数名の小さな商社

 

入り婿の社長はともかく、奥さんの専務が、昭和の少しお節介な女傑の“お袋さん”で

私達の専務の旧式って感じ

 

 

みんなこの女傑のお袋さんが大好きで、義侠と仁愛を持つという影響を受けているみたい

 

女性社員は通夜振る舞いでも彼女の為に笑みを忘れず……

 

    その笑みが倒れそうな彼女を支えていた

 

 

 

通夜振る舞いの後、その場に女性社員全員が追加でやって来たニャンコ達にまみれて泊まっていった

 

 

 

私が復元室で施行していると

     保証局長がやって来て

 

 

桃さん、復元施行は私がやるから、あの娘さんの為に世界の終わりの“Rain”をピアノで弾き語りをやってくれない?

 

キーボードとコーラスは麻理鈴

私は快く受ける

 

 

保証局長は、社員達から彼女が写っている画像を集め、技術局にピアノ譜面にリンクする映像を頼んだ様だった

 

 

告別式が終わり出棺

 ……社員達全員が同行していった

 

 

 

リハーサルも終わり………

 

皆が戻って来て顴骨法要を行う

 

 

最後に保証局長が挨拶をする

 

「本葬義の最後の演奏です。

この演奏は亡くなられたお母様にでは無く、これからの人生を一人立って歩む娘さんの為

また、深い仁愛をお持ちの社長ご夫妻と社員の皆様の為に演奏させて頂きます」と…

 

 

………私は歌う…

 

魔法は いつか解けると 僕らは知ってる

 

月が咲いて太陽が今枯れた

傘を差し出す君に映る僕は濡れてない

水たまりに映る僕は雨に濡れてた

 

ノエルちゃんは、譜面台にゆったりと座り、シッポをタクトの様に振る

 

 

すると………

斎場の奥から人間表現学部の女の子二人が、踊りながら娘さんに「ファフロツキーズの飴」を手渡す。

 

次に新体操の二人が空を飛ぶ様に現れ、赤いバラの花束を渡す

 

 

幸せなような 涙が出そうな

この気持ちはなんて言うんだろう

 

ファフロツキーズの夢を見て起きた

涙が頬で乾いていた

 

 

彼女は涙が溢れ

専務さんが彼女の肩を抱いていた

 

 

ミュージカルの女の子二人は

かすみ草を持ちバラの花束に添える

 

 

大きな花束……

私も涙が止まらない

 

 

虹が架かる空には雨が降ってたんだ

虹はいずれ消えるけど雨は草木を育てていたんだ

虹が架かる空には雨が降ってたんだ

忘れないよ こんな雨の日に空を見上げてきたこと

 

 

ノエルちゃんが目を見開く

 

 

キャンディがピエロの出で立ちで参上

 


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娘さんに

西洋のお辞儀“カーテシー”で風船を手渡した

 

 

いつの間にかに

社員達が彼女の周りに集まり、手を握り彼女達も歌う…………

 

 

雨が止んだ庭に 花が咲いてたんだ

きっともう大丈夫

 

そうだ 次の雨の日のために 傘を探しに行こう

 

 

お母さん、貴女の娘さんは大丈夫。

こんなに素晴らしい仲間たちがいるのだから

 

 

     さようなら…お母さん

 

 

 

……………葬儀一切が終わった後…

 

あのお袋さん専務がやってきて「素晴らしい葬儀ありがとう」と追加で代金を支払おうとしたので

 

 

「女の葬儀社の矜持です。

    追加料金はありません」と答えたが

 

 

「それならば、皆さんへの心付けです」と、私に握らせた。

(もちろん参加者全員に平等に分けた)

 

 

  このお袋専務さんとは

    長い付き合いになりそうだ