死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

我が子を授かった『証』

 

………死産児…

 

様々な理由があり……

生きて産まれる事が出来なかった子供達

 

 

 

この子達は死んで産まれた後

様々な道を辿る

 

 

もちろん古典2宗教や、詐欺紛いのスピリチュアル人間が説く『死後の魂の行く末』では無い

 

 

生きて産まれた子の様に手厚く葬られる子

そのまま無かった事にされる子

中途半端にされる子……………

 

 

 

…………昨日…

やっとお母さんの胸に帰った子がいる

 

 

妊娠26周目に死んで産まれた

この親子は他の死産の親子よりも…遥かに可哀想な別れ方だった。

 

 

死産児は同じ墓には入れない…

そう言われ合葬、遺骨も残っていない

 

 

 

夫婦関係、義理も含めた親子関係は破綻し、一人きり

 

 

彼女を支え…

人らしく、一人で立たせたのは、我が社のボランティアグリーフケア部隊

 

 

 

あれから2年後………

今、彼女は当社第二花卉センターで働いている

 

 

この間、私はここの社長…営業一部長に

 

「そろそろ『心の折』が着いたか?」を聞くように言った

 

 

『思い出すと悲しいけど、あの子はいない。そう思う事が出来る様になった』そうだ。

 

 

 

なので…私は

一部長に『彼女を総務局に新しい経理システムの研修出張に行かせて』と……

業務命令を出させた

 

 

 

総務局は…私達「女の魂の結晶」

 

ここには…彼女が欲しくても抱けなかった者達が大勢いる

第二花卉センターは総務局から1番遠く、彼女もまだ行った事が無い。

 

 

………葬儀前にご飯支度をしていた専務は、赤ちゃんの世話をさせながら、研修をさせたそうだ。

 

 

研修も終わり

彼女を総務局の隠密(オニ)の間へ……

 

ここは素粒子や分子に帰った者達が居る深淵

潜在意識意識で対話する部屋

 

 

 

そして彼女が心から求める者がいる………

  抱きしめられなかった彼女の赤ちゃん

 

 

 

専務は赤ちゃんの遺骨が入ったロケットペンダントを渡し、経緯を話した。

 

 

私達は

例え胎児でも…なんとしても遺骨を遺す。

 

彼女の赤ちゃんも、

ほんの少しだけど確実に回収出来た

 

 

 

それは

一人きりでも生きていかなければならない母親に

 

「自分は確かに生命を宿したその証」の為

「二度と一人きりにはさせない」為

 

 

『自分は今も母親』だと云うことを忘れない為

 

 

 

 

もう…この祭壇から何人もの赤ちゃんが、お母さんの胸に帰って行った

 

 

  死んだ子供は

   死んだそのままで最高に素晴らしい……

 

 

 

その事に気付いて欲しい

    と、専務は語ったそうだ

 



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ペンダントを首から掛けた彼女は……

 

さっきまで子供を辛そうに見ていたけど、明らかに変わって優しい目に変わったとの事だった

 

 

 

貴女は今もお母さんなんだよ

胸に抱いている赤ちゃんの為に明るく生きろ

 

 

 

    私はモニターを見ながらそう思った……