私達の会社はある理由で
赤ちゃんから子供の葬儀を多く受注する
昨日は2年前に当社が受注した「乳幼児突然死症候群」で亡くなった赤ちゃんの三回忌。
生後2ヶ月で一人逝った女の子。
あの時、お母さんは憔悴しきっていて、私達ではどうにも成らなかったけど、
私の中華屋さんのお母さんが優しくあやすように揺り続けると、赤ちゃんと共に死んでいた感情が爆発したように号泣した……
そのお陰なのか…お母さんは気丈にも立ち直り、今は亡くなった赤ちゃんの妹を腕に抱いている。
私達四人の納棺師は
死んだ赤ちゃんの納棺の儀の時、後頭部の産毛を遺族に分からない様に摘まみ、糸切りハサミで切り保管する。
お母さんの中には「へその緒」を持っていない人もいて
「親子の証」を遺す為にね
胎児ちゃんの遺骨もそうだけど、状況に寄ってはその場て渡さないか、そのまま渡さず後日合葬墓に納める場合もあって、
このお母さんも「悲しみの深淵」に逆戻りしそうで、49日にも一周忌にも渡せずにいた。
しかし月命日に花を届ける総務局の職員が、「あのお母さん、お腹に赤ちゃんいるよ」
「この間、無事に女の子が産まれたよ」と教えてくれた
時間と新しい生命がお母さんを奮い立たせてくれた様だ。
法要が始まる前、
私はそれとなくへその緒の事を聞いたら「へその緒は持っているけど、成長した思い出のものは何も無い」そうで
私は事務室に戻り“赤ちゃんの遺髪”に
「お母さんのところへ帰ろう」と声をかけ……
私はお母さんに
産まれた妹さんとお母さんが幸せになる事は義務ですよ
これは、2年前に私が納棺の時、親子の証が無かった時の為に預かった、この子とお母さんとの証の遺髪ですとペンダントを渡した
妹さん、亡くなったお姉ちゃん、そして御自分の為により強く生きて下さい…………
……………死んだ赤ちゃんは
お母さんの胸でキラキラ光ってる
どうか親子四人で安祥に
穏やかに生きて欲しい
私はそう願わずにいられない
………………桃子の日誌…