イギリス男児の心意気の表現する言葉に
「ジョン・ブル 魂」ってのがある……
………昨日の夜…
総務局のお母さん達が出産する病院の一つから紹介された産科で「死産」があった
外国人の義父が
斎場の玄関先で男泣きに泣いている
……お母さんは日本人だけど
旦那はイギリス人
旦那の両親も仕事で日本に住んでいる
このお母さんのお腹にいたのは
「無脳症」の赤ちゃん。
妊娠中に見つかったけど
お母さんが
家族や医師が勧める中絶を断固拒否
エコーを見ると
赤ちゃんは普通にお腹の中で生きてるからだ
無理矢理…中絶を勧めると
ショックを受けてるお母さんが…パニックみたいになり、何かやりそうで危険
仕方なく説得しながら妊娠を継続させていたが、予定日の４週間前に死産した。
私達はこの死産を遙か前に知っていた
仲が悪い実の両親と義理の両親にいさかいがありそうなのと
昨日までの事象の対応について、病院が巻き込まれる可能性も心配………
その様な事に詳しい弁護士が居ないか？私達の知り合いの医師に相談し、
良い所があると妊娠中期に紹介してくれた
担当のキャンディは………
病室のお母さんの前でイギリス人の義父が
「可愛い孫だ(^-^)」と……
額が無い…
手の平に収まる位の小さな体
カエルが魚の様に飛び出した目…
薄過ぎる皮膚
そんなの関係なく
死んでいる孫を、生きているが如くあやす
その暖かい眼差しは
燃え尽きそうな母親の心を癒していたそうだ
他の４人の関係者は
容姿に目を背け…触れもできない
キャンディも抱いたそうだ
私達４皇役員や総務局の女の子が、
死産児や死産になる前の赤ちゃんを抱く気持ちが分かったと言っている
そう…生きて抱かれる事が無かった赤ちゃんの為だけじゃあ無い。
無事に産む事が出来なかったお母さんと、普通の容姿で産まれなかった赤ちゃんを、
完全に肯定する為に抱っこする…………
……………キャンディ…
ピアノ弾いているけど泣き止まない…と、彼女と一緒の女の子が心配して連絡してきた
夜明け前…
私は、私の母の命日と父の護摩供養を終わらせて斎場に様子を見に行く…
私を見つけたキャンディは
私に飛び付いて泣いた…大声で泣いた
人の気持ちも
親子の事も
夫婦の事も
信頼も
もう…何がなんだか解らなくなったそうだ。
旦那も実の両親も義母もここには居ない。
お母さんの病室……
ただ、イギリス人の義父だけが赤ちゃんの傍らにいる
赤ちゃんに涙を見せないように、離れた片隅で…
肩を揺らしながら
涙で顔をグチャグチャにしながら泣いている
義父を気にしていた総務局の女の子達が
朝ご飯にと
専務達が作った
スコーンと蜂蜜
フィッシュアンドチップスを温め、
台所でベーコンエッグとコンソメスープ、ポテトサラダを作ってくれ……
義父を誘って赤ちゃんと皆で食べる
彼は私達と赤ちゃんを気遣う様に笑みを見せた…まるでジャパンスマイルだ
これがジョンブル魂ってものか…
病院ロビーではやっぱり
義母と実の両親、旦那が「誰が悪い！！」と揉めているそうだ
何なんだコレ？
明け方、後輩社長に指示された２部長の妹が
パクわんこの「はなまめ」ちゃんと、ニャンコ隊を連れてきた
ニャンコ隊は赤ちゃんに寄り添い
はなまめちゃんはイギリス義父に寄り添っている。
やっぱりイギリス人にはブルドッグが似合う
今回はあらゆる面で
とても…悲しい葬儀になる
キャンディは生まれて初めて深在意識に住む
「人の本性」を思い知る経験をするだろう
でもね…私達皆がいるよ
頑張れ………
