昨日、また一つ昔ながらの葬式屋が姿を消した。
従業員の居ない家族経営……と言っても奥さんと旦那さん二人でやっていた小さな葬式屋。
私達とは友好関係にあり、時々直葬や自宅葬を外注してあげていた。
この葬儀屋の息子さんは家業を継がず、普通の会社員となり…跡継ぎが居ない為の廃業だった。
私と後輩社長とはこの息子さんと面会した事がある。
『お父さんの葬儀屋を継ぐ気はないのか』を聞いたら、
『親みたいな苦労をして得られる収入はわずかだし、家族を養えないから継がない、両親も理解してくれた』
と言っていた。
この葬儀屋の主人は私達の会社と同じで、どこの傀儡にもならず
他の大きな葬儀社から意地悪されて苦労しながらも独自性を維持し続けた。
この葬儀屋の主人や私達が歩む道は
『修羅の道』
この修羅の道はこの間書いた二河白道の『白道』に良く似ている。
一筋の白道は幅が四~五寸(12センチ~15センチ)で水・火が常に押し寄せている。
そこへ後方・南北より群賊・悪獣が連れ戻す為、取って食う為に迫ってくるので後戻りは出来ない。
白道を歩いて行けば……
足元や目の前に火や水という敵が襲い掛かって来て、負けて川に堕ちれば溺れたり焼かれたり潰され…
後ろからの声の誘惑に負ければ、どこかに取り込まれ傀儡になる
戻る事はできず、前から次から次と現れる敵と戦い絶対に負けてはならない…
彼ら老夫婦は何とか白道という名の修羅の道を渡りきった。
廃業の挨拶にやってきた二人はほっとした顔というより
『「新しい折」を迎えてスッキリした…』という顔で帰って行った。
私達はまだ道の中場……
仲良しの皆で手を繋ぎ、手段を選ばず時には牛頭馬頭とも手を繋ぎ…
敵を殺し踏みつけ絶対負けずに歩み続ける。
そこは陳腐化した『正義』という言葉など不要な道だ
白道と言うよりも、拝一刀と大五郎が歩む『冥府魔道』に近いのかもしれない…
それでも私達は歩み続けるのた。
この『白道』を歩むと
自ら決めたのだから…