死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

Without You.あなたなしで..燃え上がる音楽葬

 

故人と残された遺族……

 それらと重なる音楽がある

 

歩き続けた夜にたたずむ

  流れる涙を記憶に重ねて

 

出会いの数だけ別れはあるけど

  限りない時が続くと信じてた

 

                            X JAPAN   Without You

 

残された奥さんが歌った。

 

上手いとは言えない

でも……私達と会葬者達の涙はとまらない

 

歌詞と重なる彼女の感情が、私達の心の一番柔らかい部分を掴むからだ

 

 

享年50歳……すい臓ガンで故人となった旦那と残された奥さんは再婚同士。旦那の趣味でやってたマチュアバンドがきっかけで知り合い、三年程前に結婚……

ガンが見つかり、入院から2カ月で虹の橋のたもとへ旅立って行った

 

その様な経緯から完全自由音楽葬と決まる。

(ごちゃごちゃ言うヤツが出る可能性があるから、開場前に当社で雇用している“お東のマンション尼さん”を呼んで通夜の経読をさせた)

 

 

で……そのアマチュアバンドの演奏が問題。奥さんがヴォーカルを担当していて、演奏も歌唱も、ちょっと下手なんだよね

まあ、コロナ騒ぎもあるから「バンド演奏は保健所に止められた」と説明して、式中はX JAPANの曲をエレクトーンとEピアノで演奏、ノーヴォーカルで式を進め……

 

式後に隣の第二会場の遺族(この故人も若いんだよね…)と共催

X JAPAN バラード曲による追悼ピアノコンサート」

を行う事と決まった。

 

 

……………式中は私がEピアノ、エレクトーンを麗ちゃんが弾く………

 

私のピアノ演奏の時は必ず動物家族が参加し、私の悪魔演奏を際立たせてくれる。 

 

ノエルちゃんは譜面台にライオン座り、アレクちゃんは演奏椅子の横の台でライオン座りをしてくれるんだよ。

昨日は第二会場で通夜やってる後輩社長のカールちゃんも、アレクちゃんに誘われ飛び入り参加した。

 

 

泣きながら…笑いなから…歓声をあげながら…スライドショーに合わせ式は進む…………

………すると私の譜面タブレットにメッセージ

 

「奥さんが曲を口ずさんでいる

2曲後の“Without You”を奥さんに歌わせる」

と総号令の麻理鈴からの指示。

 

2曲目が終わる頃

麻理鈴が彼女をアレクちゃんとカールちゃんの間に案内した。

 

会場はナイフで切れそうな静寂と暗闇

私が演奏を始めスクリーンに……

 

貴方も覚えていたのかな…

初めて出会った日の笑顔
喧嘩の日の仲直り

今でも思い出しているよ

二度と会えなくても
おなじ時間を分け合って
一つの夢を追い掛けた日々

ずっと胸に生きていくの……

 

………テロップが流れ

彼女にスポットライトがあたる

 

     Without You…

      彼女は魂で唱った

 

 

私は泣きながら演奏する……

   横からは麗ちゃんの啜り泣きの声。

 

 

司会台の麻理鈴もプロンプター越しに泣いている。

大勢の会葬者も……そして遺族の子供が、見学していた尼さんに肩を抱かれて泣いていた

 

 

 限りない時が続くと信じてた……

       でも貴方はもういない

 

 

深い哀しみの中で音楽葬前夜式が終わり、会葬者の殆どが泣きながらホールへ……

先にホールで座ってた隣の遺族と会葬者達が

 

            「何があったの?」

って顔してこっちを見る

 

後輩社長は察しが付いた様で、メイクを直したい私に変わりホールの整理………

 

2遺族合わせて300人以上が演奏を待ってくれている


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 (当社ホール  YAMAHAフルコンサートピアノ CF3SA改 )

 

  ノエルちゃんが

     「モモ、行くんだニャ!!」

 

魂の声には

魂の演奏で応える

 

私はステージで遺族と会葬者にカーテシー

 

 そして魔改造 YAMAHA CF3SA改は

 


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   私の魂の炎を糧に奏で始めた…

 

            ………桃子の日誌…