死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

いきものがかり“ノスタルジア”...吠えるマーチンD35

 

マーチンD35…

 

エレアコではないギター


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アコースティックギターが好きな方はご存知だと思う。

 

後輩社長は、これにヘビーゲージの弦を張り、マイク無しで歌った

 

 

 

You have MC…

             I have emcee

 

 

昨日の火葬後の……

 

顴骨法要で、車いすの障害者の女の子が、泣きすぎで司会続行不可能になり

私が司会を変わった。

 

 

 

………故人は50代のお母さんで乳ガンの転移性のガン

生前予約を貰い後輩社長が担当している

 

 

このお母さんには

旦那さん、高校生の娘さん、小学6年の息子さんがいて…

 

私達と娘さんは上手く行ってない。

 

 

私達は…母親の死ぬ準備の為に緩和病棟の母親のもとへ来るワケで、見ているだけで腹が立つ…

 

父親も母親がもう直ぐ死ぬ事を前提に私達と会話し…

母親でさえ、私達と笑みを浮かべながら、自分の葬式の事を話している。

 

 

あらゆる者達が、母親が死ぬ事を当たり前に話している……

 

 

  人生で…こんな腹が立つ事はそうそう無い

 

 

まぁ…当たり前だね。

 

こんな事はたまに有るけど、

弟がその話を側で聞いて話をしていると、弟を捕まえて廊下で泣くまで怒る

 

後輩社長も“面倒くせ~”とぼやく位……

まさに「筋金入り」ってヤツだ

 

 

そんな娘さんを気にしつつも、様々な取り決めを行い…お母さんはあの世へ旅立って行った

 

 

自宅へお母さんを連れ帰った後も

親戚にもずーっとブス~っとしていて、お父さんが怒ると凄い睨み返して部屋を出て行く……そんな感じだったそうだ

 

 

それでも娘さんの気持ちなど無視して

        時は過ぎ……通夜を迎える

 

 

当初の打ち合わせ通り、仏式と故人の経歴紹介からは音楽葬の二部構成。

 

 

私達の音楽葬の全てには

幻想が織り込まれているが故に、空想と現実との境界が分からなくなる

 

娘さんも放心状態になっていた様だ

 

 

 

音楽葬告別式も終わり出棺…

キャンディが火葬場に付いて行って世話をする。

 

 

私は連結契約締結の後、この斎場に入った

次に私がこの斎場を通夜で使う為だ。

 

 

事務室に入ると、後輩社長んとこのワンコが3ワンコいて、ノエルちゃんに挨拶に来る。

 

しばらくして後輩社長がギターを持って入ってきた。

 

「おっ、顴骨法要でもなんかやるの?」

『あぁ…お母さんの頼みでね……』

 

 

キャンディが帰って来て

 

坊主が経読を始め……

       ……法話も終わる

 

 

最後の挨拶の時、後輩社長が車いすの女の子の司会に割って入り……

 

お母さんから…

娘さんと息子さんに宛てた手紙を読んで…

 

 

お母さんから…娘さんだけに贈る最期の歌

 

     ノスタルジア いきもの がかり』

 

をギター1本で、マイク無しで歌った

 

 

少しずつずれていく

ふたりの歩幅がつらい

雨音にさえ 不意に怯えて

はぐれてく二つの傘

 

 

彼女のマーチンが吠える…

 

 

忘れることなど 出来ると思うの

見慣れた背中を追いかけたい

 

涙にまかせて こぼれたいいわけ

信じることさえもう出来ない

本当の気持ちは 胸にしまう

ふたりの明日が消える前に

 

後輩社長はマーチンD35を使う時、

    ヤマハのヘビーゲージを張る

 

ボディだけで無く、ギター全体から音が出る

 

 

しかも昨日は

ベース用チタン合金の金属製ピックを使ってストローク硬く乾いた音がして

彼女の歌声と一つになる

 

いとしさを超えて 悲しみを捨てて

新しい私に 今出会うの

 

やがて訪れる 素敵な未来に あなたの姿は もう見えない

本当の気持ちは 胸にしまう きらめく明日に出会うために

 

 

彼女のソウルフルな歌唱……

胸に深く刺さり込む

 

 

曲が終わる

5弦と6弦以外、全て切れていた………

 

でも、誰も気づいていない

 

 

 

 

 

ノエルちゃんが『司会の子!』って言う…

見ると泣き過ぎで喋れない…………

 

 

 

…………私が代わった。

 

 

とは言え、全ての筋書きが変わり台本は役に立たない。

なので、祭壇の横に立って話そうと席を見ると

 

 

15名殆どの親族全員が泣いていた

肩を揺らして泣いていた…

 

 

 

私は……

娘さんをはじめ弟さん、旦那に話した。

 

 

 

      ………レコーダーからの文字興し(抜粋)

 

 

皆さんは、お母さんが亡くなる事を知り、心の準備をする時間が与えられました

 

私は両親からそれを与えられませんでした

 

今の私は哀しみの深淵から始まっている

だから皆さんが羨ましい。

 

 

お嬢さんは、お母さんが亡くなる事を最期まで…そして今も受け入れてはいない

 

お母さんは、少し心配したけど、それが嬉しかったと、今歌った職員(後輩社長)に誇らしげに話していましたよ

 

 

私達の住む宇宙は永遠の関係性と云う縁(えにし)で結ばれ……

貴女がお母さんの子供である事も一度結ばれた関係は永久に切れはしません

 

 

 

お母さんは原初から続く縁の中で、今もこの瞬間も生きています

 

 

だから………

いつもお母さんの事を話して下さい

 

楽しかった事

怒られた事

 

沢山沢山、甘えた事

自分達はお母さんの子供って事……

 

 

忘れないで下さい

 

皆さんには幸せになる義務が有る事を……

 

 

…だから………

この斎場を出た時から『笑顔』を思い出して下さい

 

そしてより強く、より長く…

自らの幸せになる義務を果たす為に、一人立って歩き続けて下さい………

 

 

  …………そう話を終わり

       葬儀一切の終了を宣言した

 

 

……………自分担当の通夜が終わって

 

 

後輩社長に『あの面倒くさい娘さんはどうなった?』と電話する。

 

「う~ん……あのまんま、変わらんね…」と

 

 

そりゃそうだ。

人は誰かを変える事など出来ない。

 

 

後は私達が存在する為の「理」たる「時間と縁」だけが彼女を癒やす

 

 

        ……………最後の桜は描かないで…

 

どうか笑顔で幸せになって頂きたい

 

         私は…そう願うだけだ

 

 

………さてと、今から告別式

お前ら男だろ!ぶらぶらしてる中脚を起てろ!!

 

  後輩社長の女バンドに負けるんじゃねえ!!