ロリポップ業務日誌
ロリポップが学生で役員としてやって来て間もない頃
斎場内のカウンターで生前予約をくれて、そのままロリポップが担当になったおばあちゃんがいる。
このおばあちゃんは余命2年とか言われて、既に4年目。
歳をとると…人はガンと共生する様で、
旅立つのはまだまだ先の様だ。
このおばあちゃん、最初に入院していた病院で主治医にセカンドオピニオンの話をしたため医者と喧嘩になって居られなくなり…
今はロリポップと顧問弁護士の女の子が紹介した大学病院に入院している。
そんな医者は言うに及ばず『劣等感の塊』の俺様医者。
東大、京大、北里などの医学部教授の加齢臭がするチンケなメンツなんかより
これから死ぬかも知れない患者の不安の方が1億倍重要な事だ。
ロリポップ常務は
昨日のポップ旦那を自宅に安置した後、
このおばあちゃんのお見舞いに行ったそうだ。
おばあちゃんは元従軍看護婦。
兵站病院から戦闘部隊を追ってビルマの山の中を仲間の看護婦と移動…
この世の地獄を見てきた生き残り。
なので…
時々施設に訪れる宗教者や自己啓発好きが、お気軽に『利他的に生きる』と言うのが大嫌い。
だから自分が大好きで、自分を大切にするロリポップの事が大好き。
ひ孫の様に可愛がってくれている。
人は地獄の中で『自分の分身(子供)』ため以外、自己犠牲になどなれない
このおばあちゃんは、自分が生き延びる為には仲間も見捨てるのが人という事を、身をもって体験していて
ロリポップは自分を愛する事の大切さを分かっているからだ。
ロリポップ常務は、いつもお見舞いに行くとき、
街の季節の移り変わりがわかる…街の野辺に咲いている花を摘み、小さな花束にして持っていって
おばあちゃんがくれるヤクルトジョアを飲みながら…
二人でたわいもない平和な時間を過ごしてくる
『もし、今、津波が来たら…私を置いて逃げるんだよ、私は私で勝手に逃げるから』
『うん!わかった』
と話したそうだけど……
私には判る……ロリポップは
必ずおばあちゃんを担いで、階段に押し寄せる人々を踏み付け蹴散らし、全速力で屋上に上る…
彼女も少し歳をとったみたい……
それも『縁起』だ。