昨日の夕方
「お疲れさまでした!!(*^o^*) 」と
杏奈ちゃんが、子供達が乗る通勤マイクロバスに乗って老夫妻宅へ帰って行く。
彼女の胸元と右腕には
細いけどキラキラと光るダイヤのネックレスとブレスレット。
この子は今どきの16歳にしては地味で、仕事も当たり前に真剣。
あの老夫妻が預かる気になったのも良く判る
昨日の記事で
この子に引き継ごうとしたのは、私が葬儀屋でアルバイトした時、初めての給料で買った小さなダイヤの細いネックレス。
後輩社長が渡したのは、私と納棺師を始めた時の初めての報酬で買った、細い金のブレスレット。
もちろん、老夫妻には許可を取ってね。
「杏奈ちゃん、このブレスレットとネックレスは、私と後輩社長を守ってくれた御守り。
まだまだ若くてお子ちゃまで、可愛い杏奈ちゃんに必ず力を貸してくれるよ。
もちろん老夫妻には許可を貰っているから」と……
私のネックレスも後輩社長のブレスレットも、何度も切れて少し短い。
この二人のアクセサリー……
私達の大人の血祭りの振る舞い全てを見てきたもの。
私と後輩社長が流した、鼻や口や額からの血や、汗や涙や、沸き立つ思いを吸った、ある意味「呪物」だけど…
そのこめられた「呪」は
「自分の大切なものを何としても守る」なんだよ。
杏奈ちゃんを見てると「次の持ち主はあの子」って感じる。
「あれをあげて良かったの?」と随行秘書が言う。
『うん、暫く身に付けていなかったし商人の私達の武器は “ 札束 ” だから』
私達の会社の在り方や思想は、専務と常務の虎の子 “二人のお子ちゃま役員” に受け継がれ
私達二人の純粋な “ 矜持とド根性 ” は、必ずあの子へと受け継がれて行く。
私達二人の一つの大きな「折」が見えて来た。
そこは、まだまだ遥か彼方だけど……