世間はすっかり晩秋
ウチの晩秋と言えば
毎年送られて来る北海道産の秋鮭の
自家製塩鮭に
自家製の筋子
どちらとも良い感じになったので、後輩社長と二人で杏奈ちゃんの保護者の老夫妻に届けに行った
夫妻とたわいもない話から必然的に杏奈ちゃんの話になる……………
杏奈ちゃんは、母親の愛情を受けられなかった女の子。
母親は国立大学卒の才女なんだけど、子育てマニュアル…育児書通りにしているのに杏奈ちゃんが泣き止まない……
マニュアル通りに成らない……
つまり「子育てはマニュアル通りでは無く、完全な応用」って事を理解出来ず
結局、ノイローゼで育児放棄みたいになってしまう
これに近い親は私達の総務局もいたな
杏奈ちゃんは、それ以外にも様々な事情があり児童福祉施設に入った…
大半の者がねじ曲がってしまいそうな環境の中、担当だった相談員が親身なってくれたり、可愛がってくれたり
“奇跡に近い出逢い”があったからこそ、素直で優しい女の子に育った
紆余曲折あってボランティアだった老夫妻が里親になり今に至る
話の中で「私達(老夫妻)は杏奈ちゃんのお母さんに感謝しているんだよ。この歳になって家族も出来たし、家の中が明るくなった」
「私達が死んだ後、後ろ盾になってあげてね」と言われた。
でもね、それはまだダメなんだな。
彼女は明るいけど、まだ無理してる所があって、どちらか一方でも欠けたら、心に大ダメージを受けるのがわかるから。
送迎バスの運転手さんの話では、毎日二人で玄関先まで送りに来て、帰りは玄関先で杏奈ちゃんを待っていて、
彼女は照れくさそうにしているけど嬉しそうにしてる…………
…………つまり杏奈ちゃんの帰る場所は、総務局じゃ無くて老夫妻の家って事。
帰る所や、帰りを待ってくれている人がいないのは寂しいよ
だから夫妻には「最低でも15年は死ねませんよ。これは杏奈ちゃんの為です」と………
老夫妻のガラケーに彼女から
「今から帰る」とメールだ(#^_^#)
私達は、挨拶をして帰る
家族水入らずにおじゃま虫は不要だから(^^)/
…………桃子の日誌…