私達は、日々様々な死体と関わりを持つが、出来れば関わりを持ちたくない死体も、当たり前にあるわけで…………
数日前に私達の所にやって来た、37歳の娘さんの遺体が正にそうだ (-ω- ;)
私達が遺体を迎えに行く場所は大きく分けて2ヶ所。病院と警察。
専務が彼女を迎えに行ったのは警察。
病院以外で死ぬと、ほぼ警察行きになる。彼女の死因は溺死。浴槽で失神し、顔がお湯に浸かって溺死したそうだ。
夜勤明けの父親が発見し警察に連絡したのは良いけれど……
この人、いわゆる…太ってる
なんてモンじゃ無い
〈モデルの約1.4倍くらい〉
私達は去年も似たような故人の施行を受注したけど
その故人と同じかそれ以上の体型……
こんな太ると、気絶して体が少し沈んだだけで、凄い水面が上昇して鼻の上までお湯が来て溺死してしまう
体をよく見ると鎖骨の下に、長めの傷跡があり、もしやと思って金属探知機を当てると、死体検案書には書いてないが、ペースメーカーがあり、
体型から破裂時間が遅れ、火葬場の職員がペースメーカーは無いと判断し、火葬炉の覗き窓からデレキを入れて作業中に破裂すると危険だから、
ペースメーカーを取り出して貰おうと私が呼ばれた。
普通はそのまま火葬して破裂させるのだけど、この故人の破裂時間は予想出来ないから危険だよ。
で、切開して外したんだけど
通常、年数が経過しても、皮膚に結構はっきりとペースメーカーの形が出るが
今回は、脂肪がビッシリ纏わり付いて分からない。つまり、ペースメーカーを入れてからも太り続けたって事だ
しかしまぁ……
これらの事は故人本人が苦労するだけの事。
私達がこの故人とあまり関わりたくない理由は、こんな崇高な事じゃない。
私達が嫌なのは、
故人を数メートル以内に「移動」させる事
彼女は死後四時間殆どで父親に発見され、遺体の腐敗は進んでいないので、通常の納棺を行うのだけど
まず、警察の検死台からストレッチャーに乗せるのに持ち上がらず、警官にヘルプして乗せるのを手伝ってもらい……
何とか布団に寝かせる
納棺の時も、棺の敷布団の持ち手を持つと、布団が破れて遺体が落下するし、そもそも私達や遺族だけでは持ち上がらない。
仕方ないからウチの学生バイトの男の子10人で棺に納め、ヒイヒイ言いながら霊柩車に載せて下ろし………
翌日、ヒイヒイ言いながら霊柩車に乗せて出棺させる。
動かない遺体はことのほか重い…いや、重すぎる。
専務に依ると
警察が四人がかりで、狭い浴槽から外に出すのにまる2時間かかり、死臭のするお湯で全員ベチャベチャ。
その内、2人が腰と腕をいわした(痛める)そうで、公務災害になって、担当の強行犯係の刑事は、散々怒られた上に報告書と顛末書を書かされたそうだ。
さあ、今日は納棺と通夜だ。
…………しかし…
こんな太ってデカイ人も、同じ骨つぼに納まるんだよ………
何なんだろうね、これ
まぁ、死んでからもごちゃごちゃ言われるのだから、痩せた方が良いわな……