死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

壊疽 (えそ)おばちゃんの恩

 

遺体の中には……

氏名、本籍、住所がわからず、遺体の引き取り手もない仏さんが居て、その仏さんの事を「行旅死亡人」と呼び、ホームレスもそれに該当する。

 

この仏さんを火葬埋葬するのが、自治体の競争入札随意契約している葬儀社で

遺骨は火葬後から3年間、自治体や葬儀社が保管しその後合葬墓へ埋葬する

 

昨日は、そんな仏さんの遺骨を合葬墓へ埋葬に私と杏奈ちゃん茜ちゃんの3人で行って来た。

 

昨日の埋葬した遺骨は

私達が3年前に受注したホームレスのおじさんとおばちゃんの二人

私はその中のおばちゃんには忘れられない恩がある

 

ホームレスの人々って何だかんだボランティアからの支援もあって、まあ…それ程は困ってはいないんだよ。

ただ、怪我や病気になると…すぐに命に関わる問題になる。

ボランティアに訴えればなんでも無いんだけど、彼らは自分の口から訴える事をあまりしない

 

 

昨日の合葬墓に埋葬したおばちゃん

確認の為、納体袋のファスナーを開くと右脚の指先からかかとまで真っ黒で、匂いはソコから。更によく見ると脚の指先から付け根までに何匹ものウジが動いている。

 

       これ「壊疽(えそ)」

 

私はアメリカでの州資格の修得の為の実習で見て以来の2回目だった………

 

…………東京は火葬場が不足していて、火葬までに4日間かかる。

 

火葬待ち2日目、自治体と警察が遺族である息子を見つけて、遺体の引取りの為に自治体職員が遺族である息子をウチの保管場所に連れて来た。

 

でも……

遺体を見た途端、引き取りを断固拒否した。

私は自治体が関係していて代金が焦げ付く事も無い。関わりたくない私は部屋を出て、別の部屋で監視カメラと音声を聞いていた

 

何だかんだ息子が自分の母親の引き取りを拒否した理由は「壊疽」して、ウジやサナギだらけで気持ち悪いから。

結局、息子は自治体職員を振り切って逃げた

 

こんな事はよくある事だけど

これ、仕様書には無いから納体袋の遺体をそのまま棺に納棺していたらなんだよ。

 

それ以来かな……自治体からの行旅死亡人に対する仕様書に記載が無くても、当社の遺体納棺前の処置を実行する事に決まった

結局、このホームレスのおばちゃんに関わった中で誰一人スッキリした者は居ないし、亡骸になっても家族の元に帰る事が許されないのは悲劇だから

 

でもね、これを始めて以来、随意契約でウチに依頼される施行数が明らかに増えたし、入札での評価点が高いままである程度高額の入札金額でも落札出来る様になった………

 

…………そんな出来事を二人に話すと

「ふぅ~ん…そうなんですね」なんて言ってたけど如何なんだか( -_-)o

 

随行秘書の女の子とアレクちゃんが「アイスクリーム買って来たよ~」って手招きしてる

 

あのおばちゃんと違い

私達には穏やかな時間が流れている


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 ありがとうおばちゃん(^^)/

   貴女の恩はずーっと忘れない

 

          ………桃子の日誌…