死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

いつか終われるその日まで

 

茜ちゃん…

しんみりしてる

 

「なした~?あたしに言ってみ?」と、

台風で帰宅困難になった会葬者の対応をしていた北海道出身の随行秘書の女の子が言う。

 

昨日、茜ちゃんは台風接近の事もあり、葬儀施行で忙しくて暫く訪問出来なかった、バイトの時に通っていた一人暮らしの婆ちゃんの家を訪問した。

 

お盆なのに家には婆ちゃんだけ

東海地方に住む息子家族も結構高齢で、コロナ騒ぎと台風の為に来ていない。

 

一緒に行った同僚と色々楽しく話しをしていた時

「毎年迎え火を焚いているけど、ワシにはまだまだお迎えが来ない……」

 

この婆ちゃん……

戦争中、勤労奉仕先で空襲に遭い偶々入った防空壕焼夷弾が突き抜けて


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助けを求める奥にいた同級生や避難者を見捨てて逃げた。それがトラウマになっていて…以来77年もの間、空襲のあった日に贖罪の祈りを捧げていた

 

グリーフケアをやっていると、高齢者からこういった話しを聞かされる事は数多ある。しかも家族か知らない事を私達にだけ打ち明ける

 

仕方ないんだ。

防空壕で見捨てられ亡くなるのは婆ちゃんだったかも知れない。

だからこそ日々の外交努力で戦争が起きる状況を回避し続けなければならないし、それでも戦争になったら大切な人が焼夷弾で生きたまま焼かれるなんて事にならない様に

   “絶対に負けてはならない”んだよ

 

 

「早くお迎えを……」

そんな事を真顔で言われたら、だれよりも相手の気持ちを察する力に長けている茜ちゃんは相当ショックだったんだよね。

アレクちゃんは横に座り彼女の手に自分の手を重ねて慰めてくれている

 

「それは婆ちゃんが背負うトラウマであって、茜ちゃんが変わってあげたり、半分背負うなんて事は出来ないべ」と道産子ねーちゃんが彼女の背中をボンボン叩く

 

「おーい、イノシシ焼いた。皆で食べるぞ」と声がする。茜ちゃんは力持ちの保安部の女の子に担がれて車いすにのり、事務室に連行されていて行った……

 

 

婆ちゃんの贖罪の日々はまだまだ続いていく

 

            いつか終われるその日まで

 

          ………桃子の日誌…