人は幾つになっても恋をして、
様々なかたちで人を愛する……
…………明日、一つの恋が終わった
内縁の妻が亡くなり
しょぼくれた中年男が一人ぼっちで残される
内縁ってのは世間体が悪い
突然、亡くなった事を病院から聞いた故人の老親や親戚達が来て、内縁の夫は散々言われて追い出され、病院の待合ロビーで泣いてる
珍しく可哀想に思ったのかドライな1部長が、葬儀会場の住所と、通夜、葬儀の日時を伝えると、やって来た。
よっぽど愛していたのだろう…結局、逃げてしまって来ないと思ってた1部長も驚いた
多分、亡くなった内縁の妻も、今までほったらかしにされ、こんな時だけ遺族ヅラしている親族よりも
しょぼくれた…でも本当に優しい内縁の夫と二人きりで過ごしたかっただろうに
彼にはマジックミラーのある別室で通夜と葬儀に参加してもらう
葬儀は仏式と音楽葬の二部構成
通夜の最後の曲は
「ラヴ・イズ・オーヴァー」
私達は、ささやかでも深い愛情で繋がっていた二人の為だけに歌い演奏する。
そう決めたから
彼は…椅子から崩れ落ちて泣いた、しょぼくれて疲れ切った顔で大声で泣いたんだよ
…………彼は今朝も早くにやってくる
告別式最期の曲は
「愛の賛歌」
遺族には会葬者みんなへの愛と言ってあるけど違う。
優しい真(まこと)の夫へ、
彼女からの大きな愛を伝える為に歌う
彼女が彼との「縁起と言う理(ことわり)」の中で永遠に生き続ける為に……
……………桃子の日誌…