人生色々…本当に色々
私達はいつもその一部を垣間見る
…………専務の業務日報より
「産んでくれてありがとう…
でも…産まれてゴメンなさい……」
告別式で故人の娘さんがそう言ったそうだ
担当の専務がお母さんを迎えに行った先は警察署
死因は心不全で、朝に目が覚めなかったみたい
故人である母親は、娘さんを産んで直ぐにシングルマザーになり、一人で大人に育てあげ
その娘さんも社会人になり、母子で楽しく暮らし始めた矢先の出来事。
「いつの間にかに心労が重なったのかな…」
専務は母子家庭で育ったから子供を育てる苦労が分かるんだよね
弔辞で娘さんが言った
「産まれてごめんなさい」って言葉の重さも
だから告別式の閉会の挨拶の時も、出棺の時も、何も言う事が出来なかったそうだ。
でもね、「産まれてごめんなさい」って言葉は絶対言ってはいけないんだ
お母さんが望んで娘さんを産んだ事
二人で幸せに生きた日々……
全てを否定する言葉だからたよ
専務もそんな事は分かっていて…
でも、子供を産んで育てた事がない専務や私が何を言ってもダメ。
だから車いすの梨子のお母さんを子会社から呼んで、一人遺骨と遺影を持つ娘さんに
「貴方は産まれてきて嬉しくないの?」と……
………………『で、どうよ?』
「わかんない」
『そだね………』
人は人を変える事は出来ない
………この先、如何なるのか誰も分からない
分からないんだよ……
…………桃子の日誌…