顎から上と、指先しか動かず……
顎の下からは全く力がはいらない
そんな車いすの女の子が
総務局に一人いる
彼女は週に2日程、幼稚園や低学年の放課後クラブなどに呼ばれ「読み聞かせ」を行っていて
もはや、彼女の生きがいだ………
彼女は児童書だけでなく
お気に入りの“スフレ”さんの詩や短編童話
日本の民話や世界の童話も読んで聞かせる
昨日は「子育て幽霊」の話しを読んだ
《こんな優しい目…幽霊画には殆ど無い》
この絵を見ると…私は涙が出る
死んだお母さんが、幽霊となって
棺桶の中で産んだ子供を育てる為に「みなとや」と云う飴屋に…
毎夜、水飴を買いに来る
読み終わると…会場がシーンとなり
園児を膝に乗せた、お母さんのすすり泣きが聞こえる
私は……
飴をもう少し砕いてみんなに配った
この物語に出てくる
「飴屋」「寺院」は実在する
日本最古の飴屋の変わらぬ味は
私達を笑顔にしてくれた………
…………このお母さん幽霊は
棺桶の中の赤ちゃんを誰かに託すワケでは無く何とか自分で育て様とする
自分は「三途の川」を渡るのを辞め、渡し賃を使ってでも育てた
それは自分の大切な子供だから
私の母もそうだ。
学生同士故の…周りの大反対を押し切り、自分の親との縁を全て切って私を産んでくれた
例え父と別れて一人でも産んだだろう
ろくでもない世の中………
まだ、こんな母の慈愛はあるはず
きっと、きっと…在る