去年末から年明けに掛けて、暖かい葬儀があって………
…………この時に関わった四人のキャバ嬢の内1人が6月1日総務局に入社する
この女の子
いわゆる「赤門にあらずんば人に有らず」と本気で思ってる総務局の女の子社員達全員が「あの子は必要!」と認めた子で、
彼女達が専務に話して呼んだ子なんだよ
あの葬儀の後、四人は専務に「まだ店は通常通りやってないでしょ。貴女達は客のあしらいが得意だから通常営業までグリーフケアを手伝って」と声を掛けられ……
………店が再開されて、一人脱け二人脱けで最後まて残ったのが彼女。
まぁ、店での売り上げはごく普通。でも“彼女のお客さん”がツケで飲んだりした酒代が焦げ付いたりで、毎月その分は彼女が支払うから、手取りが少なかったのと
何よりキャバ客じゃ無いグリーフケアに行った先の普通の爺ちゃんや婆ちゃん達に「有り難う御座いました」ってお礼を言われる……
今まで彼女が何かすると怪訝そうな目で見られたり嫌な顔をされたりだけど、ここでは金髪の自分でも感謝の言葉を掛けてくれて
「自分は誰かの役に立って、誰かに必要とされている」って……それが本当に嬉しいそうだ。
彼女は顔に幸せのツヤをいっぱい浮かべて、私を「アネゴ、アネゴ」としたってくれる。
『ちょっと、大社長が総裁と呼びなさい』と専務と麻理鈴に言われてたけど「アネゴ」だからってまだそう呼んでる
私はそれがとっても嬉しいんだ…………
……………今日も彼女は朝早くにやって来て、運転免許証取得の自動車学校へ行った。
帰って来たら子供達に英会話を教わるヾ(^^ )
17歳で高校を退学し、家出する様にふらっと東京に出てきて「売り」をしながら歳を誤魔化してキャバクラへ………
彼女は私達とは違う質の苦労を重ねてきたからか「人の心の痛み」が分かる女の子
グリーフケア先の老人の手を握る彼女の手は“安らぎを与える手”だよ
どうか彼女が幸せを掴み続ける様
私は願わずにいられないんだ
………桃子の日誌…