今、遺体の補正が終わり……
夜明けのインスタントコーヒーを飲む
昨日、緩和病棟からやって来た痩せこけた初老のおじちゃんには胸に大きな内出血があり
襟元まで広がっていたので皮膚色の補正と、痩せた体を生前の姿に戻るまで復元した
約2カ月前このおじちゃんと家族から生前予約を貰い、私と随行秘書が何度か訪問。
犬が大好きだって事と元警察犬と云うことで、病院はアレクちゃんを病棟に入れてくれ、おじちゃんはとても可愛がってくれた
死んだおじちゃんを前に
アレクちゃんはしょんぼりしていて、ノエちゃんが横にくっついて慰めている
斎場に連れて来た後
遺族との打ち合わせの中で
「一度危篤になった時 “死にたくない” と呟いたのを医者に言った途端、医者はおじちゃんに馬乗りになって心臓マッサージを行った」ら、息を吹き返したそうだけど、二度目はダメだった。
私達が訪問した時、おじちゃんは「死ぬ覚悟は出来てるよ」と言っていたけど、そんな簡単なもんじゃない。
このブルーハーツを歌ったお父さんも死にたくなかった
歌ってから生き続ける事に貪欲になった。
「どの様になっても生きていたい!!」
それが生き物ってもんだよ
その証が胸の青アザ
肋骨が全部折れても生き続けたいという証
そう思って何が悪い
死にたくないと言って何が悪い………
………おじちゃんの遺影はアレクちゃんと一緒に写ってる写真。
迫る死を忘れ、
生き続ける事以外考えていない表情
アレクちゃん、
貴方もおじちゃんの葬儀に出るよ。
生ききったおじちゃんを祝福し、かつ死を悼もうよ
…………みんなでコーヒー飲むと…
それは…朝の露と消えていった
おじちゃん…凄いよ
人生、本当にご苦労さま
“こうなってまで生きて居たくない”
なんて言ってる貴方、それは本心なのかい?
私は悲しいね…そんなの