死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

愛の一番星 みちのく二人旅

 

年配読者の皆様…

ポケットベルや携帯電話が普及する前、伝言はどうしてましたか?

 

特に付き合ってる人への伝言などは

かなり苦労した人がいるはず

 

 

今から40年近く前…………

24時間開いてるドライブインってのがあって、伝言板や店の人に連絡事を頼んだり…トラックの運転手がよく使っていたそうだ……

 

 

先程、火葬場に送り出した元個人事業主のトラック運転手のじいちゃんもその一人

 

 

80歳前にもなると

仕事社会から殆ど切れてしまい、参列者も親族と息子達の会社関係の人達、近所の人々数名くらい。

 

ただ、このじいちゃん弔電が多め

 

通夜で読み上げるのに遺族に相談しに行くと、息子関係の会社の他に、

 

懐かしいトラック運転手仲間や、

北海道から九州…日本各地のドライブインの元経営者からの電報が入っていた

 

この…昔から今だにだある連絡網には驚いた

 

 

 

やんちゃ坊主のじいちゃんは

高校を中退した後、様々な職業に足を突っ込んで……

 

大型免許を修得

 

 

運送会社で働いた後、

  個人事業主として独立………

 


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    《トラック野郎 一番星》

 

自分のトラックを当時流行りのデコレーションし、日本全国を走っていた

 

 

奥さんはじいちゃんの居た運送会社の社員で、独立後から付き合い始めた為、

じいちゃんとの連絡手段が無い…日本の何処に居るか分からない…

 

それで、じいちゃんが立ち寄る24時間ドライブインの奥さんや、旦那さんに頼んで連絡を取り合っていたそうだ。

 

 

そんな今は無いドライブイン連絡所からの弔電が来ていた

 

 

 

経歴のスライド演奏では

 

 

“流れて津軽”………

 

 “みちのくひとり旅

 

 “天城越え”………

 

  …………“河内おとこ節

 

 

などを私が歌った

 

 

子供が出来る前…

デコトラで一緒に旅する二人

   ドライブインの人々とのショット

 

 

じいちゃんのデコトラで得意満面の子供達

 

 

子供達が独立した後

またデコトラで荷物を積んで旅をする二人

 

 

   二人共、最高の笑顔で写っている

 

 

歌いながら会場を見ると

歓声があがったり…笑ったり

 

…………皆、二人の姿に涙をこぼしていた

 

 

 

通夜後のミニコンサートは……

  ……何故かトラック運転手の御用達の

 


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        「八代 亜紀」

 

 

しかも歌い手は……

 

  「ボス!!私に歌わせて下さい!」

 

 

大騒ぎしたキャンディだ

 

 

全ての音楽葬もだけど

 

じいちゃんを祭壇から会葬者席に移動……

  足を少し下げ、ステージが見える様に

 

 

小さなテーブルを出し……

奥さんをじいちゃんの横に座らせて

   最期の夜を二人で楽しんでもらう

 

 

じいちゃんの好きな焼酎の水割り、おつまみ、私はセブンスターに火を点け

   深く吸い、じいちゃんに手向ける……

 

 

キャンディが登場すると歓声が上がった……

 

 

 

………そしてジョーンズ同様

     彼女の“舟歌”は泣けた

 

 

 

先程、じいちゃんは

「一番星ブルース」で二度と帰らない旅に出た

 

 

 

二度と帰らない旅……

 

 

 じいちゃんを乗せた霊柩車からは

      汗臭い男の哀愁さえ感じる

 

 

    あんた最期の最期まで最高だよ!!

 

 

 

おっと!じいちゃんには

 

      「御意見無用」だな