柔らかい光……
暖かな春の日差し
毎年..この月の始め
戦友、後輩社長と待ち合わせ…ある墓所へ向かう
私と彼女は、
今はとんでもない女だけど、恐竜に怯え、巣穴で震えるネズミだった頃もある。
私達は、自分達の力だけで今の状況に立てたと思う程、頭は弱くない
そんなネズミの私達に暖かい手を差し伸べ、包み込んでくれた人達がいる
昨日…訪れた墓所に居る私達の大恩人「前組合会頭」もその一人。
墓地に着いて……
後輩社長と墓に向かう
彼女の随行秘書が同行しようとしたので、私の秘書、麻理鈴が制止した。
このひとときだけは、
私と社長…ノエルちゃんだけで過ごす
私達は深く頭を下げる……
「会頭…私ら貴方のおかげで
会頭の好きな酒を買える様になったよ」
会頭の大好きなオールドラフロイクを切り
3人車座で呑む
ただ……
ただ…それだけの時間
俺もお前も「鉄」だぞ
真っ赤に熱せられ、叩かれる度に純度を増して柔らかく……いつも磨くから光る。
怠けると、錆びてしまう。
働けよ!負けるなよ!
そう言って
死ぬ直前まで守り続けてくれた
涙が溢れて止まらないよ…会頭……
貴方から受けた大恩は絶対に忘れない
…………行こう!モモ!!
ノエルちゃんが私達に気合いを入れる
…あれから………
取り戻し様の無いものばかりが増えていく
しかし、会頭から受け継だ『鉄の心』だけは
今も…これからも光続ける
………鉄の心 鋼の女