死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

狐花の咲く道で

 

世の中はお盆休みって所も多い。

私達は昨日の夕方前、初代会頭の墓参りにいった。

 

初代会頭の家は新盆(七月)なのだけど、混雑を避けてゆっくり会頭に報告する為、遺族の邪魔にならない様に、私達は旧盆の2.3日前に墓参するんだよ。

 

今までは私と後輩社長の2人で初代会頭の好きなスコッチを持ち墓前で、私と後輩社長と初代会頭の3人で呑んでたのだけど……

 

 

………この間キャンディとロリポップが墓参に乱入

「もう、墓前で後輩社長と二人しんみりと酒を呑んでる状況は終わったんだ……」

だから私と後輩社長のスケジュールに書き込んだら、専務やらなんやら私達の他に10人もやって来ている

通夜の前日で暇な住職を呼んで経読

その後、周囲のお墓にも供物や飲み物、線香のお裾分けをして会頭の墓の前、皆で呑む

 

古い寺社の墓地

故に何でもありで、かなり離れた所からも視線を感じる。

 

でもね、ノエちゃんが居ると寄って来ないし、目線を向けるとサッと隠れる。

でも周囲には元ヒトだった者や動物だった様な者がいっぱい。

感じ易い女の子は私とノエちゃんのそばでビビりながらお菓子を食べてる。

 

まあ私に言わせれば

「生きてる人間の方がずーっと怖い」って…

 

 

もう辺りは殆ど夜……

もう一度手を合わせ迎えの車の所まで歩いていく。

「モモ、あれ…」

 

前を歩いていたロリポップ常務と抱っこされているニャンコの「太郎(八幡太郎)ちゃん」が地面の脇を見ながら立ち止まってる。

 

そばへ行って見ると一輪の“りんどう”がこちらを見ながら咲いていて……


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モモ、

あれにもチュールをあげるニャヾ(^^ )

だから小さなバルサ板に少しチュールを出して前に置いた……

何故かふゎーっとあたたかい気持ちが心に湧いて浮かぶ

 

「太郎ちゃんが待ってってね……

   ももさん、あれ何だろうか?」

 

『さあ何だろう。多分…狐花かな

 

狐花…普通は彼岸花を指すのだけど、私は違うと思う。

何かが何かの意思を持って、それを理解してもらえそうな者の前で季節外れの花を咲かせるってね。

 

「そうなんだろう…ね、タロちゃんヾ(^^ )」

 

私も車に戻る。

ノエちゃんはさっきのチュールの残りをペロッと舐め、私の膝でへそ天で寝てる

 

「頼朝公、幼少のみぎりのしゃれこうべってのがある。

相応しい場所には相応しい姿で現れる。あの猫があの場所で相応しいのは、可憐な“りんどう”の姿だったんだ……

 

「ノエルちゃん、お疲れさま(^_^)」

 

そんなノエちゃんの顔をアレクちゃんが逆舐めする。

「お前、何するニャ!」と高速猫パンチ。

 

生きてる……

それだけで丸儲けなんだね

  …………冥府に至る経夢の道で

 

             桃子の日誌…