死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

人が人に伝え残す最後の言葉

 

………異人と人と…

 

「私と隣のニャンコとワンコ達の部屋に行こうか?ヾ(^^ )」

 

                        『うん……… 』

 

通夜が終わり…

通夜振る舞いの時、つまらなさそうにしていた故人の女の子のお孫さん(中学校2年生)を誘いニャンコ達が居る部屋へやって来た

 

第二ラボ………

先日、彼女のお婆ちゃんが老衰で亡くなり

「焼香って如何するのですか?」って私に聞いてきたのが彼女。

 

当該葬儀での焼香の作法を教え、今から一緒にお婆ちゃんに焼香しようか?

私が横で焼香していると、他の遺族と親族が覗いてる。ふと枕飾りの横で冷たくなっている婆ちゃんがシワシワの顔して微笑みながら正座していた (*^_^*)

 

通夜が始まり…導師が香炉の中でZの形に組まれた線香の束に抹香を乗せ、天井まで煙が立ち上る。

 

葬儀は順調に進み

私は「焼香台」を回し始めた

 

今日は久しぶりの「回し焼香」。最前列の彼女の順番が回って来た時、彼女の横から手が見える。

そのシワシワの手は優しく彼女の手を取り一緒に抹香を香炉の中に移し、


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手を合わせ合掌する彼女の手を優しく包み込み、彼女から大粒の波がこぼれ、顔を上げると同時にそれは私に会釈をし、ふっと消えて行った………

 

 

………隣の部屋、無造作に座布団を敷いて座る。百恵ちゃんと淳子ちゃんの子供達が集まってくる

彼女はニャンコを腕に抱き膝を抱えながら、ゆっくり猫を吸う

二人はしばらく口を開かなかった

 

杏奈ちゃんがお菓子を廊下まで持って来てくれ、アレクちゃんが私達の所へくれた。

彼女はクスッと笑う

 

「焼香…上手くいって良かったね」

『うん』

「暖かかったね」

『泣いちゃった……』

 

「お婆ちゃん…最期に何か言った…?」

『ありがとう…ね』が最期の言葉だった

 

優しいお婆ちゃんだった

 

そう言って彼女は膝を抱え泣き出し動かなくなった。

 

私はあの手の事を聞こうと思ったけど口をつぐんだ。見覚えのある痩せてシワシワの手は彼女には見えていない

 

聞くべき時は今じゃない

話すべき時は今じゃない

 

お婆ちゃんが私に託した彼女への言葉があっても今の彼女には届きはしない

そして…泣きながら膝に顔をうずめ動かない彼女に掛けてあげるべき何かを私は持っていない

 

だからせめて、私は彼女が顔を上げるまでそこで待つことにした

ニャンコ達は彼女の近くに集まって思い思いくつろぎ始めている

 

私は畳の上にゴロンと大の字に寝そべり一度目を閉じる

 

     すると私の手を誰かが包みこむ

   「分かったよ、ちゃんと伝えるねヾ(^^ )」

 

目を開けるとシワシワの微笑みを浮かべたお婆ちゃんがゆっくり消えて行った……(#^_^#)

 

          …………桃子の日誌…