死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

被災地のたわいもないクレマチスの思い出

 

昨日、故人を自宅に安置して来た。

故人の自宅は細い路地にあって寝台車が入れず、手前の道路で故人を下ろし毛布を掛け、歩いて搬入する

枕経が始まり…法話も終わって…

 

遺族との打合せを“希実ちゃん”に任せ、私は車までの細い道を歩いていたら、誰かの玄関先で、沢山の蕾を付けながら咲いているクレマチスを見つける………

見覚えのある花だ

 

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………私は第1ラボへの車の中で、まんじりともせずボーッとしていたら…夢とも違う白昼夢みたいな思い出が頭の中に浮かんだよ……


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あの東日本震災

 

以前にも書いたけど、私は地震の直ぐ後に被災地の遺体安置所で、遺体の処置や納棺を行っていた。


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              (映画 遺体 明日への十日間)

 

もちろんまだ起業も為ていない、葬儀社のバイトとしての施行だよ


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               (映画 遺体 明日への十日間)

 

まあ…その様な場所に長く缶詰め状態になっていると精神が壊れそうになる。

お子ちゃまだった私は我慢が出来ず高台の安置所から抜け出して、町の方に降りて行ったんだ。


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津波の臭いがする道を歩いていると

瓦礫が退けられ、少しだけ出来た道端に白いモノが目に入る。

倒れて転がった小さなクレマチスの鉢植え

 

何処かの家の中から津波で流されて来たのだろうか?

開花時期はまだ早いのにそのクレマチスの鉢植えは満開に花を咲かせていて、私は倒れた鉢植えを直し、無意識にその白い花を二輪殆ど摘みメモ帳に挟んだ…………


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………メモ帳と押し花は

母が亡くなった時のゴタゴタで行方知れず

 

あの花を摘んだ時

心の存在と、その心が暖かくなるって感覚を私は始めて知った

 

そんな、

 それだけのたわいもない思い出ばなし

 

しかし….あのメモ帳は何処へ行ったのだろう

 

          …………桃子の日誌…