少し前…もっと前かな………
葬儀 告別式の開始前、私はキャッチ演奏で吉幾三の『津軽平野』を歌った。
季節は今と同じ初春の頃
亡くなったのは青森のおじちゃんで…
ウイルス性の肝臓癌
余命も幾何も無い時…ある著名人からの紹介で音楽葬の生前予約を貰った…………
………………宇宙の公理通り
おじちゃんの意識は素粒子の海へ帰り
残された身体は、血液が下にさがっても、ビリルビン(胆汁)の色が細胞を染色しているみたいで
真っ黄色って云うより山吹色……
会葬者が見るとビックリするので
家族からの要望で全身の色調補正を施行した
一度全部脱がして
とりあえず紫外線に当て、ある程度ビリルビンを分解する………
新生児黄疸の時、光に当てるのと同じ
その後、色調補正を行う
身体全体を見ると……胸がなんか凹んでいる
触ると肋骨の殆どが折れていた……………
……………こちらの言及記事をお読み頂きたい
記事のお題の通り
延命治療などしなくても良いと云ったけど、いざ死ぬ間際に『死にたくなくなった!』と云う98歳のばあちゃんの記事。
一昨年、そんな彼女が本当に死にそうになりました。肺炎から心不全が悪化。かなり厳しい状況でした。
積極的治療は望まないと事前指示書には書かれています。
苦痛緩和の処置をして、静かに息を引き取るのを見守る。
それが、本人が望み、家族も同意している彼女の人生の最終段階の支援のはずでした。
しかし、診察をしている僕に、彼女は「先生、死にたくない……」 と消え入るような声で訴えました。
ケアをしていた老人ホームの看護師たちも、彼女の生きたいという意欲を見逃しませんでした。
結局、このばあちゃんは潜在意識では死にたくなかったのだ。
遺族の話で、私が担当した黄疸のおじちゃんも延命治療は不要と言ってたけれど、死が近づいて来るに連れて『死にたくない』と言ったそうだ。
心停止した時、心臓マッサージや人工呼吸で二度息を吹き返す。
その時に肋骨が殆ど折れてしまったけど、おじちゃんは命数を一切無駄にせず、完全に絞り出して死んでいったのだ。
昨今、『尊厳死』などと云うのが話題となり、NHK番組内で死んでみせた者までいる。
この様な番組などの影響で『延命治療』は行わず自然に死んで行く……
こんな考え方が持てはやされ
『死ぬのは嫌だ、怖い、死にたくない!!』と泣いて叫く事が、格好悪く言い出せない風潮が出来上がっている
特に歳をとった老人や、死ぬのは怖くない、何時死んでも良いなど、普段から格好良い生き方や死に方を語っている人達
そんな人は……自分が死ぬ時は、死にたくないのに『死にたくない』と言えず、延命治療は不要と言ってしまう
自分でも気付かない…潜在意識でそう思っている人は必ずいるはずなのに………
更に家族から『延命治療は必要ないんだろ!』と云う『同調圧力』を掛けられて、自分で無理に思い込んだり……
もしそれが『尊厳死』なら、自殺の強要って感じだな
死にたくなかったのは、黄疸のおじちゃんや、記事のばあちゃんだけでは無い
この記事にも……
そんな人は大勢いるんだよ
もし…死病で延命治療などしなくても良いと言っている肉親がいるなら……
死にそうになった時『死にたくないだろ、生きなさい』と言ってみたら?
本当の気持ちを話すかも知れない………
『生きていたい!!』とね
……………黄疸のおじちゃんは、
身体もツメも…見違える程、白く美しくなって青森に帰って行った
胸のへこみは『自分に正直になって、精一杯生ききった証』なのだ……………
…………………隣の練習スタジオからロリポップ常務の『津軽平野』が聞こえる
《冬の岩木山》
彼女の津軽平野は…
私に春の雪解けみたいな情景を思い浮かばせる
山の雪どけ花咲く頃はよ
かあちゃんやけによそわそわするね
いつもじょんがら大きな声で
親父うたって汽車から降りる
お岩木山よ見えたか親父
彼女の歌を聞いて思い出した
少し懐かしくなったよ東北弁のおじちゃん
おじちゃん…私は元気だよ
どう?元気に死んでるかい?
良い所へ行けたのかい?
世間は騒がしいけど
季節は間もなく春だ………