死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

墜ちた場所 墜ちた音

 

様々な人生があり

故に…様々な事情があり

 

だからこそ様々な自殺の方法がある………

 

 

私達は自殺の死体と多く関わるけど、通常とは違う手順で弔いが進む事も多い為、けっこう大変、

あまり利益が望めない場合もあるし、遺族への気遣いも半端じゃない

 

 

 

昨日の午前中に復元施行をやっていたおじさんは、飛び降り自殺。

 

見たところ、それ程高くないマンション階から飛んだみたい

 

 

両足の裏から膝を屈め、しゃがむ様に着地

手の平を突いてから顔面を撲ち……

頭を強打して死んだ様だ

 

 

これも…結局、無意識に普通に着地しようとしている。

この人は、潜在意識では死にたくなかったのだ。

 

 

 

手の平や膝には土ではなく、コンクリートアスファルト様の小さな砂粒がめり込んでる。

この人…芝や土の上に墜ちていたら死ななかったかもしれない

 

 

 

 

総務局社員の女の子の一人。

この子は飛び降り自殺の葬儀には絶対関わらない。

 

 

彼女は…飛び降りて墜ちた音を聞き、墜ちた死体を目にし…PTSD様な症状が出るから

 

 

高校からの帰り

 

自宅付近のマンションの方から『バーン』と云う様な爆発した様な音が…

 

 

人がポツポツ集まっていて

彼女も何となくそこを見たら…

 

手足が千切れ…頭が無く、物凄く臭い物体を見てしまう

 

 

この物理宇宙に住む限り公平に物理法則が働く。当然、自殺者にも…

 

飛び降りると空気抵抗を受ける為、高い場所から飛ぶ程、空気抵抗が小さくなる様に足か頭が下向きになる。

 

 

彼女の見た自殺者は頭から墜ちた為

頭を失った…粉々になって

 

ブロック材の硬い地面に墜ちたから手足が千切れた

 

普通の人がそんなの見たら失神しトラウマになる

 

 

そして彼女は、何かが破裂する…

風船など、割れる音がトリガーになって自殺者の姿と臭いがフラッシュバックしてしまう

 

彼女にとって、いい迷惑だ………

 

 

 

私の前で寝ていたおじさんは

足から腰、肘から肩まで骨が皮膚を突き破って…頭も骨折しているけど、

「岡田有紀子」さんの様に脳みそが外に出ておらず、顔はそれ程崩れていない。

 

 

※飛び降り直後の様子を見たい方は、完全自己責任で「岡田有紀子 飛び降り」で画像を検索して下さい。

    

  私達はこんな死体を元に戻すのが仕事…

 

 

 

 

奥さんは警察で全てを見てしまったけど、幸い子供達は顔以外は見ていない………

 

 

 

………………只今、深夜12時過ぎ

   おじさんの死体が私の元に帰って来た

 

これから壊れた身体を直す。

 

 

     残された子供達の為に

 

 

 

斎場の奥からピアノの音……

 

想い出の糸車 からからから空回り

あの人は路地裏に たたずんでいた

 

想い出の糸たぐる からんでもつれた絹を

あの人が白い歯で噛み切る その時

必殺仕事人 「思い出の糸車」

 

 

 

キャンディが

通夜で弾くピアノの練習をしている

 

 


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おじさん……

あんたの 絡んでもつれた絹は何なんだい。

 

 

まぁ………

それが判るくらいなら、空なんか飛ばないか…