死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

二つ積んでは母のため

 

朝一番……

 

赤ちゃんは

お母さん、お父さん、お姉ちゃん達、いとこ達、爺ちゃん婆ちゃん達と火葬場へ……

 

会葬者達に見送られ旅立って行った……

 

 

 

私達は…

死産児、乳幼児、子供の葬儀の際に必ず行う事がある。

遺体の首に必ず…当社で作った「三鈷杵」を掛け、指は地蔵菩薩印を結ばせる……

 

それが出来ない場合は

南無地蔵大菩薩」と書いた札を身体の横に置く

 

 

これは古い物語の中の…

賽の河原に居るであろう「鬼」から子供を守りきり、地蔵菩薩の早急な救いを得ると説明する為…

 

時々、迷信で母親にモラハラするバカな親戚、知り合いが出るからだ

 

 

 

今回、初めて縁が出来た住職は

おー!鬼避けね!」と、閃いてくれた。

なかなかの坊主だ。

 

 

 

この初老の住職はちょっと変わっていた…

 

通夜の法話でも、仏法や釈迦の逸話、自分の体験など話さず

ただ…一心に、この遺族への「慈愛」を求め…

 

 

……葬儀で、初めて経に出てくる逸話と

私達が赤ちゃんに施した事象を結びつけて話した。

 

 

 

読者の皆さんは

こんな歌詞をご存じでしょうか?

 

一つ積んでは父のため

二つ積んでは母のため

 

三つ積んでは 西を向き      
しきみほどなる 手を合わせ    

 

郷里の兄弟 我ためと
あら痛たはしや 幼子ごは
泣き泣き石を 運ぶ成り………

 

これはかなり簡素化されているけど

「賽の河原地蔵和讃」の一部分。

 

これは地蔵菩薩を讃える物語だけど、

子供達は、獄卒の鬼から虐待以上の可哀想な目に遭わされる

 

 

 

賽の河原に集まっているのは

親より先に死んだ子供達

 

ここに集まる幼児は
小石小石を持ち運び
これにて回向(えこう)の塔を積む


手足石にて擦れただれ
指より出ずる血の滴(しずく)
身体を朱(あけ)に染めなして……

 

 

積んだ石は徳になる…

故に徳を親に送る為に石を積む

 

 

既に打たんとする陰に
幼児その場に手を合わせ


熱き涙を流しつつ
ゆるし給(たま)えと伏し拝む

 

 

しかし、子供が積んだ石塔は歪んでいて

これでは徳に成らないと鬼が石塔を叩き壊す

 

 

何度も何度も石を積んでいるうちに指はただれ、血が流れ、

体中が幼子の血で真っ赤に染まる

 

 

この子供達は「石積みの刑」を受けているのだけど、

何故、親より先に死んだ子供達は、石を積み、親兄弟に「徳」を送らなければ成らないのか

 

それは…親の産みの恩、育ての恩になどに報いていない(親孝行をしていない)因果応報もあるけれど…

 

 

親の嘆きは汝らの
責苦を受くる種となり

 

 

責苦を受けるタネ……

 

 つまり、親より先に死んで

  親を嘆き悲しませているからだ

 

 

「もしも、物語の様になった時……河原では、葬儀社さんが持たせた法具、お地蔵様がお救い下さる。

しかし、三途の川に映る…下界の親達が、いつまでも嘆き悲しんでいるのを見たのなら、石を積む苦しみよりも、死んでしまった事に、もっと辛い後悔をする……

 

亡くなったこの子を幸せに出来るのは、ご両親や幼い姉妹…ご家族の笑顔

 

だから、残る2人の子供達の為、旅立ったこの子の為に、早く笑って過ごせる様に生きて下さい………」

 

 

その様に話し…

 

会葬者に遺族への…より一層の慈愛を求め、両親に声を掛けて控え室に戻っていった……

             (私はネットで視聴)


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この和讃は『法華経』にある
童子の戯れに砂を集めて仏塔を作る。」と言う部分を元に、後から作られた地蔵菩薩を讃える和讃…

 

最後には地蔵菩薩が子供達を救ってくれるのだけど…

地蔵菩薩は遺された両親への戒めとして登場している

 

哀しみを癒し、立ち直らせる事が出来るのは『時間』だけ

しかし、嘆き悲しんでいる時間が長ければ、生きている子供達、死んだ子供も何時まで経っても安祥など得られはしない

 

早く立ち直るきっかけが地蔵菩薩なのだ。

 

 

人が産まれ…百日祝いで『お食い初め』を行うけれど

人が死んだら百箇日がある(現代では殆ど省略)

別の呼び方で『卒哭忌』と呼ばれる

 

卒哭忌は涙を卒業する日

故人にとって笑顔が供養となる『折』の日

 

この両親…特にお母さんは

呑気に『卒哭忌』まで泣いていられる状況ではない


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  さあ、涙をふいて

    生きている2人の娘の為に………