昨日……
技術局に発注していたデスマスクを取りに行く…
転落遺体なので、傷痕がリアルにあるヤツ
何せ……大阪から私の前にやって来た
鳥になって『あの神』の所へ行きたかった30歳の彼女は、
神に近づく為に、より高い所から飛んで
顔と脳を完全に失い……
イスカリオテのユダの様に
内蔵をアスファルトにぶちまけた……
イミテーションの傷口の上から包帯を巻く
傷口を押すと血液が染み出でカサブタ様になるように、血糊袋に『ヒツジ赤血球』を詰める…
バラバラになったり、見つからない体の一部を
技術の私達が、プロセスに従って人の形に復元した…………
………ノエちゃんも復元室に入り
バステト神の様に…まるでラーの目で
私の後ろを睨み時より牙を見せる
可愛らしさは微塵も無い……
………今朝…告別の前
彼女はインフェルノにもハライソにも居ない
2人で告別のコーヒーを飲む
これから何処へ行くのか…
わからない…………
恋をすると、自分が自分でなくなってしまう
どんな想いで待っていたのか…
誰も私をわかってくれない
人は始めから終わりまで、独りぼっち
彼女も一人で死んでいった…心に鬼を宿しながら。
人が人を恨むほど
その人自身が鬼に近づき
怨霊も人が人を恨むほど
魔物へと近付いていく
しかし…彼女が
命を投げ出した時、鬼は鬼で無くなった
素敵な想いでは、キラキラな涙で鬼を洗い流して行く………
鬼を洗い流し終わった時…
彼女は暖かな陽だまりへとたどり着く
生まれ生まれ
生まれ生まれて生のはじめに暗く…
死に死に死に
死んで死の終わりに冥し…
人は何処から来て何処へ行くのだろう
………エニグマ