死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

写真プリント店主の遺言…兵どもが 夢の跡…

 

絵が上手い……

 

 

これは絵を描く事が好きか嫌いかは

作品の出来には無関係

 

 

写真も同じ……

写真を撮るのが好きか嫌いかは関係がない

 

 

その…下手っぴな写真から

『お気に入りを選べ』と言われた者は

 

『良心の呵責』という猛烈なストレスに襲われる

 

 

 

昨日…

2年以上前から生前予約を貰っていた旦那が亡くなる

 

 

胃癌で入院時には既にステージ4

 

 

1ヶ月殆ど前

『もうそろそろ死ぬから打ち合わせしたい』

 

と連絡が入り…

担当の後輩社長が病院に逢いに行く

 

この旦那は写真を撮るのが好きで

昔は個人で写真の同時プリントのお店をやっていた人……

 

 

 

時は流れ……時代の変化に対処せず、時代から取り残された旦那は店を潰した

 

 

後輩社長が遺影用に預かって来た画像は落武者だ…

 

 

生前打ち合わせの時、後輩社長に『写真とは』と長々と熱心に語る……

 

『私の撮った写真から貴女が気に入ったものを10枚くらい飾ってくれないか』と言われ…

 

 

奥さんからプリントされたものとネガ…それとスライドになったものを預かって来た。

 


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これ、私も初めて見るリバーサルフィルムってやつ。

 

 

技術ラボで後輩社長と吃音のラボ長が、何百枚のプリントやスライドを確認すると………

 

 

余計なものが写っていて

何を撮ろうとしているのが判らない。

 

全体的にブレていたり……

 

 

死んだ人に言いたくはないけれど、かなり下手で選べないと悩んでいた。

 

それと…『僕の葬式の集合写真はこのカメラで撮って欲しい』と……これ



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ペトリ…全く知らない、今は無いメーカー

しかもフルマニュアルカメラ………

 

 

長年使い込んでいたのか、ファインダーを覗くと中に埃やキズが見える。

でも、50ミリレンズには周囲にカビなどは無く大切に使っていたのが分かる……

 

 

私が技術局に行くと

……今もラボ長はスライドを確認している

 

『なかなか無いね…今はまだ4枚だけ』

 

 

多分…本人も自分の腕前は判っている

 

でも「いい写真を撮ろう」っていう意気込みは伝わってくるから辛いそうだ

 

 

好きだから…か……なんかハッとしたね

そんな感覚や原点…私はいつ忘れたのだろう

 

 

 

そして『兵どもが 夢の跡……』というけど

 

見る影もない落武者の旦那は

自分の店でどんな夢を見たのだろうか…

 

 

 

             ……………ノスタルジア