12月4日未明……ロリポップ常務が大好きな婆ちゃん亡くなる
病院に品質保証所長と総号令のロリポップ常務が迎えにいったら……
彼女の為に
『ありがとう…感謝してます』
と書かれたメモの上にヤクルトジョアが置いてあったそうだ。
肺にも転移していて相当苦しかったはずだけど、珍しくも穏やかな死に顔……
命数を完璧に使い切った顔はこんなかもしれないと保証長が言っていた。
当社家族葬斎場に安置。
湯潅、納棺までに日にちがある為、清拭と保湿をしていたら、左鎖骨の下に貫通銃創があったそう…
後方の兵站部隊や衛生部隊も命懸けで…ビルマの山の中をさまよい
戦火と抗日ゲリラ
死体と
目の前で死んでゆく人
これから死ぬ人
傷付いて歩けない見方の兵隊、同僚の看護婦を見捨て…
死んだ仲間や兵隊の腕を切り落として内地へと後送……
婆ちゃんは青春の時を死と狂気の中で過ごした
兵站病院が抗日ゲリラに襲われた時、誰かに突き飛ばされ…命拾いしたそうだ。
後ろを見ると見方の兵隊が倒れて…
その兵隊の血肉が婆ちゃんの体中に付いていたとロリポップに話している。
だから婆ちゃんは…
自分をとっても大切にし、誰かが身代わりになる事を嫌っていた。
自分が心から大切にした者なのに、相手は自分の為、簡単に自らの命を棄てる……
そんな事をすると、身代わりになられた者は、どれだけ傷つくのか身をもって知っているから……
私はいいから、貴方が幸せになって……
そして自分だけが幸せになって相手は幸せになれなかった……
相手を踏み台にしたのだとトラウマになる者も出る。
これでは本当に幸せになる者は居ない
そして、この婆ちゃんの思いや言動を理解し、甘えるロリポップ常務を孫の様に可愛がってくれた。
見事な素晴らしい婆ちゃんだった。
ロリポップ常務は遺族と葬儀打ち合わせを済ませて、直葬と二件の民生葬を時間差でこなした後……
婆ちゃんを安置している斎場トイレの個室から泣いたまま出て来ないと、彼女の随行秘書から私に連絡があった。
只今、約23時40分………
さあ、強行突入の為の脚立と、婆ちゃんから彼女に渡す様に預かっている手紙を持って…
ロリポップ常務が立て篭もるトイレ個室を強襲しよう
彼女には
なんとしても立ち直っていただく………