『……亡くなる前…母は
……あなた達二人りきりになるのだから
強く
明るく
そして誰よりも幸せに
私の葬式で泣いたらダメ。母さんは幸せいっぱいだったから明るく逝かせてね…
と言ったけど…
約束……守れない……… 』
昨日の葬式
喪主である娘さんの最期の挨拶
可哀想過ぎて…
2部長が涙を我慢しきれず司会続行不能になって、ピアノ演奏の為に同席していた私が司会を交代した。
お母さん達は、旦那と離婚して九州から親子3人で東京に出てきた。
乳がんで、皮膚転移の箇所から浸出液があり、凄い臭いと骨折もある。
そして、腕にはかなりの数のリストカットの跡があったそうで、
後輩社長が転移箇所と癌本体を復元処置とメイクで完全に消した。
画像を見ると、
復元施行前の体は、私でさえ見た事の無い…目を覆う状態
このお母さんは、自らを犠牲にして一人で娘さん二人を育て、ひとり立ちさせた『薩摩おこじょ』
泣き止まない2部長に
『あの親子3人の思い出を、美しくする義務がアンタにはある。行け!!』
と怒鳴りつけ……火葬場に向かわせた。
最期の思い出は光る雪の様に美しく…
『汚れっちまった悲しみに…』ではいけない
彼女には明確に義務がある。
姉妹だけになった換骨法要も終わり
2部長は最期の挨拶の中で
泣いて泣いて涙が尽きたなら……
立ち上がるしかもうないのです。
立ち上がってまた歩こう…
お母さんが行った事が無い遠くまで………
土の上に根を深くおろすまで…
それまで……どうか
耐えておくれ、わたしの涙腺よ!
負けて悔しい、花いちもんめ悔しかったら、やればいいじゃん。
負けとったらいかんじゃん。…………
1リットルの涙からと、自分の言葉で姉妹を励まし三人でまた泣いて…
……私が代わった
こうやって人は慣れいく
そして…無門の関(無門関)を見極め
内外打成(ないげだじょう)の一欠片(ひとかけら)になる
これがプロになるという事…だ