死体を愛する小娘社長の日記

小娘の葬儀社社長の私が、本心だけストレートに書く日記。社会 時事・各種宗教・社会哲学・古典・日々の出来事など

吃音症(発達障害)の女の子が、副所長になれた理由。不得意な事はやらない法則

 

 

昨日、役員の女の子達は不得意で嫌な事はやらないと言う事を書いた。

however-down.hatenablog.com

 

不得意な事はやらない…

 

これは役員の女の子達だけってワケではない。

全ての子会社職員も同様。

その子会社に存在する以上、絶対に出来なければ成らない事……

 

遺体搬送なら車の運転と死体を触る事が出来る…とか

子会社の花屋なら花のアレンジと花卉市場に行くのが苦にならないとか……

 

これがきちんと出来るのならば不得意な事を無理にやらなくても良い。

逆に言うと基礎が出来ない社員は試用期間満了の遥か前でおしまい、基礎から懇切丁寧に教える殆どヒマではないからだ。

 

 

 

直轄技術ラボには2人の障害者雇用促進法の対象になる職員がいる。

一人は発達障害の男の子、もう一人が吃音症(発達障害)のラボ副所長の女の子。

 

彼女はラボ長の女の子が美大で見つけた子。

絵画と造形の腕前はとても優れていて、好きな事なら徹夜で何時までもやっている女の子。

でも無声型の吃音症で…殆ど声が出せず、吃音予期不安から人との接触を避けて何時も独りぼっち…うつ病になっていて……さらに筆談もあまり得意ではなかった…

 

ラボ長が少しずつ接触して心を開いてくれて、人体の欠損部位の作製バイトに来てくれるようになり……

…そのうち……ラボ長が『就職は如何する?』かを聞いたら

 

企業訪問のやり取りも携帯電話で話が出来ないから何もやっていない』との事で……

ラボの契約社員に誘ったそうだ。

 

この辺りまでの事は、私も後輩社長も専務も常務も…誰一人知らない。

子会社の採用は子会社社長のラボ長が勝手にやっても良い。

 

ここで皆に話がやってきた。

 

葬儀関係の仕事に体する世間一般からの偏見や差別は強い。

 

バイトに来てくれる子の中にも親に話したら物凄く怒られて辞めたとか、彼氏が気持ち悪がるとか、嫌われたとか……

周りの協力がなければ続けて行くのが困難な職種。

 

なので、必ず入社させたい人の両親に会いに行く。

この時は後輩社長とラボ長が彼女の両親に会いに行った。

 

両親は吃音症で娘が苦労するのをかなり心配していたけれど『どうか宜しく』と許可をくれて、彼女は晴れてラボに入社した。

 

技術ラボは外界との接触が殆どなく、あってもホールディングスの子会社からのメールと緊急の電話だけ。

 

 

入社した時にラボ長から

ウチのラボは不得意な事を無理にやる必要はない。

 

不得意な事を努力で克服し、人間的成長をしようなどはない。

 

ただ、社員間のコミュニケーションは絶対必要だから筆談で何でも出来る方法を見つけて実践してねと…


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彼女は…首から筆談用のノートとペンを下げ

持ち前の美的センスと超人的集中力で、製品としての作品を短時間で作り上げ、成功体験と自信を付けていったけれど……

会議で彼女が直接発言する事は超困難だった。

 

 

私はホールディングス全体会議では殆ど意見を述べない。

私が意見する事で変な同調行動や圧力が生まれる可能性があるから。

私は会議室の隅で…どこかの会長が用意させていた、ふんぞり返る事のできる『社長椅子』に偉そうに座り、話しを聴いている

 

吃音症の彼女も会議に出る様になり…何か言いたげで、ノートに書いているけれど発表出来ない。

 

そんなのを数回見た事があって……

イラついた私が彼女のノートを取り上げてプロジェクターに映し

 

『ねぇ、皆ちょっとこっち見な!』と注目させた。

 

彼女のノートには議題に対する意見と、その対案が書いてあって…皆から『おぉ~~』と歓声が上がった。

 

後で……

 

アンタ、ものを伝えたいならプロジェクターで伝えな!』と自分がイライラしながら言ったのを覚えている……

 

 

不得意な事はしなくても良いが、会社の利益の為の意見は発言しなければ成らない。

それを発言しないと言うのは会社に損害を与えているのと同じ。

 

何も吃音症を治せと言っているワケではない。

 

しかし…

 

発言は義務なのだから、不得意な方法以外のやり方で克服しなければならない。

そこには可哀想とか甘えた感情など無い

 

それから彼女は『言葉を発する以外の方法』で自分の意見を述べる事を模索…

文章の自動読み上げを使い会議て活発に意見言って確実に利益を上げ続け……

復元技術ラボの副所長になった。

 

彼女は堂々と『私は会話が出来ません』と言うカードを首から下げてスマホで外部の人々と楽しくコミュニケーションをとったり、ケンカまでする様になった。

 

彼女が働く事で明るくなれたのは不得意な事を行わずに済んだからでは無い。

 

不得意な事を行わない代わりに、得意な事や出来る事を考えて、不得意な事を努力と知恵で克服したからだ。

 

不得意な事が最重要な事で避けて通れない時…

不得意な事はやらない代わりに、得意な事や自分に出来る事を使い問題を克服しなければ、会社も仕事も人生も何も良くは成らないのだ。

 

彼女はAIを使って普通に電話での会話方法を模索している。

これが出来ればラボ所長だ。

 

彼女を動かしているのは『吃音症』の辛い経験から逃げる為ではない。

『成功体験と自信』だ……

 

 

 

 

画像は押見修造 先生の『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』よりお借りしました。

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